保育の安全教育で大事なこととは?
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大事な子どもの命を預かる保育士は「安全教育」「安全管理」に気を遣うシーンも多いですね。保育活動において、どこまで子ども自身にさせるのか悩む人もいるのではないでしょうか。この記事では安全教育について保育士が思う本音をお伝えしていきます。
安全教育は「命」の教育
子どもはときに、大人にとって予想外な行動をとることがあります。そのため、保育現場では多くの危険が潜んでおり、保育士はみな細心の注意を払っています。日常の活動でも安全には気をつけていますが、安全教育として多くの保育園がおこなっているのは、「避難訓練」や「交通安全教育」などの命にかかわる安全教育です。
【避難訓練での安全教育例】
- 横断歩道を渡る際は手をあげる
- 車が来ていないか左右を確認する
- 歩くときは道路の右側を歩く
- 信号の「赤色」は「とまれ」
こうした教育を小さい子どもたちにもしっかり伝えていきます。「ことばが通じないからいわなくてもいい」ではなく、通じなくても吸収しているので伝えていくことが大事です。また避難訓練なども毎月日程に組み込まれていますね。避難訓練では次のような教育がおこなわれています。
【避難訓練での安全教育例】
- 地震の際は棚などから離れたところに集まる
- 放送が終わるまで動かない
- 避難経路を把握しておく
火災だけではなく、地震や津波などを想定した訓練も盛り込まれている園も多いのではないでしょうか。このほか、最近は食物アレルギーをもつ子どもが増えているため安全に配慮したアレルギー対応も徹底されてきています。
安全教育とは子どもに怪我をさせずに保育をおこなうこと?
交通安全や避難訓練、食物アレルギー対応や誤飲の防止など、命にかかわる安全教育は徹底しなければなりません。これは子どもの命を預かる者としてするべきことです。しかし日頃の活動において、怪我につながる行動をすべて禁止にしてしまうのは、果たして安全教育といえるのでしょうか?子どもはなんでも体験して学んでいきます。たとえば、走れるようになった子どもは「走る」ことが楽しくて楽しくて仕方がありません。走れば転ぶこともあります。転ぶと、すり傷もできるでしょう。転んで怪我することで初めて自分で「ここでは歩こう」と学びます。「怪我するから禁止」「危ないから禁止」となんでも事前に禁止してしまっては、子ども自身が体験できず学びになりません。小さな怪我はつきもの。安全教育とは「子どもに怪我をさせないもの」ではなく「大きな怪我につながらないようにする」ことが重要なのではないでしょうか。
見守る怪我・事故と止めるべき怪我・事故
「それなら、なんでも見守ればいいの?」と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。たとえば、木の枝を手に持ったまま走っている子どもがいたとしましょう。この場合は止めるべきです。「木を持ったまま走ると危ないよ」と。そしてなぜ危ないかをしっかり子どもに伝えましょう。「危ない」だけでは伝わりません。「どうして危ないのか、なぜ止めるのか」ここをきちんと伝えることで、子どもも理解できます。見守るか・止めるべきかは、重大な怪我につながる可能性があるかを基準にしましょう。
子ども同士のトラブルについて
子ども同士のトラブルで頭を悩ませる保育士さんもいることでしょう。子ども同士のトラブルにおいても、見守る場合と止める場合があります。止めるべきトラブルとは、物を投げる・噛みつく・叩くなど、大きな怪我につながる可能性のあるケースです。骨折や深い傷・後遺症になるといった危険性がある場面は、すぐに止めに入りましょう。言い合いをしているだけの場合には、視野に入れつつ様子見することも大切です。意外と子どもたち自身で解決することがあります。
保護者にも理解してもらうためにはていねいに説明を
最近は、モンスターペアレント化した保護者も増えてきました。たとえば「うちの子が〇〇ちゃんとケンカしたと言っていました。近くにいたら離してもらえませんか?」「走ると転んで顔に傷がつくかもしれないので、止めてもらえませんか?」などと保育士に要望をだす保護者も少なくありません。しかし、「~かもしれないから」とすべてを回避していては子どものためにはなりませんよね。保護者に、集団生活で学ぶことの大事さを説明し、理解してもらうことも必要です。
まとめ
安全教育・安全管理は、子どもの命を預かるうえで重要な役割であり、保育士の責任は重いです。しかし、「危ないからダメ」となんでも禁止にすることで怪我をさせないのは、子どもの成長にとっていいこととはいえません。小さな怪我も経験しながら、子どもが自分で「こうしたら痛かったからやめよう!」「これをしたら失敗したから違う方法でしてみよう」と考え、改善し、学んでいくことが大切であり、それをサポートするのも保育士の役目のひとつではないでしょうか。子どもたちには、多くのことを体験し、学んでいってほしいですね。