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福利厚生制度の一つに家賃補助がありますが、賃料の会社負担分を支給する形以外にも「借り上げ社宅制度」があります。ここでは中でも保育士の方が利用可能な「借り上げ社宅制度」について、その特徴や利用するメリットを紹介します。
一般的な借り上げ社宅制度とは、従業員を雇用している企業などが物件を借り上げ、居住を希望する従業員に対して価格を抑えながら賃貸する制度のことをいいます。一般的な企業であれば福利厚生の一環として運用されることがありますが、保育業界においてはさまざまな目的のもと自治体主導の事業として支援が実施されています。自治体が主導で行う事業であることからそれぞれの予算規模に合わせて制度設計がされており、補助が受けられる金額や条件なども自治体によって異なるという特徴があります。保育業界は社会インフラともいえる重要な業界であるため、保育士たちが働きやすい環境を構築・維持することに各自治体が尽力しています。
企業によっては自らが賃貸物件を借りて居住するにあたって、住宅手当を支給してくれることがあります。この手当があることにより実質的に支払う賃料が減る形になりますので、生活費という面において助かっていると感じている方は多いのではないでしょうか。しかしこの住宅手当はその名の通り「手当」として取り扱われることから、給与とみなされ所得税の課税対象となってしまいます。そのため、額面として支給される金額よりも手取りとして残る金額は少なくなってしまいます。
一方で借り上げ社宅制度の場合、事業者が従業員に居住させるための物件や宿舎を借り上げ、従業員から従業員負担分の賃料を徴収する形となります。事業者が負担する賃料分を従業員に支給するわけではありませんからその部分に課税がされることはなく、税金分だけ従業員にメリットがある形で運用することが可能です。自治体主導の借り上げ社宅制度であれば事業者は補助が受けられるため利用しやすいため、ぜひ利用したい制度の一つです。
ここまでに触れた通り、住宅手当として支給すると所得税が課税されますが、借り上げ社宅制度であればその課税を回避することができます。一旦給与として従業員に支給されてしまうと税金が引かれた手取りが手元に残りますから、仮に3万円の住宅手当を支給されても家賃負担が減るのは3万円から所得税を引いた金額となります。
一方で借り上げ社宅制度であれば事業者が借り上げて従業員負担分を徴収するため、仮に同じ3万円が会社負担額だった場合は家賃総額から3万円を引いた残り金額を支払えばよいという形になります。その場合、住宅手当にかかっていた所得税の金額分だけ金銭的なメリットが得られます。
自らで賃貸物件を探して契約するとなると、部屋探しから契約にかかる時間的なコストのほか、敷金・礼金・諸費用などといった金銭的なコストも多くかかってしまいます。しかしながら借り上げ社宅制度であれば事業者が借り上げた物件の中から部屋選びを行うことに加え、かかる初期費用や諸費用も事業者が支払います。賃貸借契約の更新に際して更新料がかかる場合などでも、個人で負担する必要がないため多くのメリットが享受できます。
初期費用や諸費用、税金負担だけではなくそもそもの賃料負担を下げることができるのも借り上げ社宅制度のメリットです。一般的な福利厚生として事業者が主導で行う場合には難しいかもしれませんが、保育士業界における借り上げ社宅制度では自治体の事業による補助を受けることが可能です。金額や条件は自治体によって異なりますが、これらの制度をうまく利用することができれば自己負担が家賃の10%~20%くらいで済むケースもあるようです。
自分で賃貸物件を探して自分で契約する場合、立地や間取り、新築・築浅などの希望を前提に部屋探しが行えます。自宅はリラックスできるプライベートな空間ですから、気に入った物件に住みたいと思う方は多いのではないでしょうか。しかし借り上げ社宅制度を利用する場合、選べる物件は事業者が契約した物件になってしまいます。そうなると希望のエリアと異なる場合や間取りが思っているものと違う場合があります。自分なりのこだわりを持って部屋探しをしたい方にとってはデメリットとなるでしょう。
事業者が借り上げ社宅制度の対象として物件を探す場合、やはり通勤しやすい立地を前提に選ぶでしょう。保育園の場合は園から近い場所で物件を借り上げることになるでしょうから、仕事とプライベートをしっかり分けたい方にはデメリットかもしれません。また、同寮が同じ物件に住んでいたり通っている園児の保護者とバッティングする可能性も否定できないため、あまり気が抜けない時間が多くなる可能性があります。さらに当たり前の話ではありますが、「社宅」である以上働いていなければ居住することができません。したがって、退職する際には転居が必須となってしまうというリスクもあります。
自治体が実施する借り上げ社宅制度の補助事業には一定の要件がありますが、園によっては「現住所から園が近いと利用できない」「一定時間以上の勤務がある方のみ」などといった独自の条件を設けていることがあります。規定によっては利用できない可能性があるため、こういった制度を求めて就職を希望される場合、自分が利用できるかどうかは事前に確認しておくのがよいでしょう。
先にも触れた通り、借り上げ社宅制度には自治体が定めたものや事業者が独自で定めるような利用条件があります。まずは自分が借り上げ社宅制度を利用することができるのかどうかについて確認する必要があるでしょう。また、利用要件を満たして利用できる場合にも、その制度はいつまで利用できるのか、どういった場合に利用できなくなる可能性があるのかというリスク面についても確認しておくことがおすすめです。補助事業などは突然終了する可能性があります。補助金がなくなった場合の対応はどういったものが想定されるのか、事前に準備しておくと安心でしょう。
借り上げ社宅制度は入居時に条件を満たしている方が利用できるものであり、誰が居住するのかは重要なポイントとなります。例えば「独身で入居した後に同棲をすることになった」という場合や「結婚することになった」場合など、居住する人数に変更が出る場合には注意が必要です。自治体の制度としては同棲や結婚をしている場合にも補助対象とするケースがあるようですが、園独自の規定として「単身者に限る」とされていることもあるでしょう。求人票などにそこまで細かくは書いていないというケースもありますので、事前に確認することをおすすめします。
2022年11月時点で独自に調査を実施した東京23区の一部地域の保証制度を紹介します。公開されていない情報も多数存在し、区ごとに異なります。場所を検討する際は転職エージェントに相談することをおすすめします。
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 8分の1 |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 本人が世帯総収入の50%以上を占める場合可 |
区外住居 | 不可 |
利用可能者 | 園長:不可 主任:可 栄養士:可 調理師:不可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 0から2万円(上限額以上の場合超えた分は負担) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 要問合せ |
区外住居 | 通勤が可能であれば、可能になる場合もある |
利用可能者 | 園長:要問合せ 主任:要問合せ 栄養士:要問合せ 調理師:要問合せ 看護師:可 |
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家賃上限 | 82,000円(勤務する運営法人によっては、別途規定が設けられている場合があります) |
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自己負担 | 0から2万円 |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | ①同居者が住宅手当等を支給されている場合は不可 ②世帯主又はこれに準ずる者 |
区外住居 | 不可 |
利用可能者 | 園長:不可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 園により異なる |
同居・同棲 | 同居者が手当を受けている場合は対象外 |
区外住居 | 園により異なる |
利用可能者 | 園長:園により異なる 主任:園により異なる 栄養士:不可 調理師:不可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 8分の1(園により異なる) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | ①世帯主又はこれに準ずる者 ②住宅手当等が支給されていない者または、支給されている同居者がいない者 |
区外住居 | 園により異なる |
利用可能者 | 園長:令和4年度は対象 主任:令和4年度は対象 栄養士:令和4年度は対象 調理師:令和4年度は対象 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 0から2万円(上限額以上の場合超えた分は負担) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 要問合せ |
区外住居 | 園により異なる |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:不可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 同居人が住宅手当を受けていない、対象者が世帯主、主たる生計者が対象 |
区外住居 | 通勤1時間以内なら可 |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 0から2万円 |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 要問合せ |
同居・同棲 | 本人及び同居者が住宅手当等の支給を受けていない場合は可 |
区外住居 | 要問合せ |
利用可能者 | 園長:要問合せ 主任:要問合せ 栄養士:要問合せ 調理師:要問合せ 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(品川区からは7/8の7万1,750円、保育施設から1/8の1万250円が補助) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | ①1日6時間以上かつ月20日以上の勤務をしていること ②保育施設等の経営に携わる法人の役員ではないこと ③平成25年3月31日以前に補助対象施設に入居していない者 ④ 宅手当等を支給されていない者 ⑤世帯主もしくはこれに準ずる者 ※例外として、シングルマザーの方などが扶養内の子どもと同居する場合は認められる場合が多い |
区外住居 | 要問合せ |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 配偶者がいない場合は18歳未満の子供、就学の子供、障碍者の子供と同居している場合。配偶者がいる場合は、被扶養者になっている場合。 |
区外住居 | 要問合せ |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 要問合せ |
同居・同棲 | 要問合せ |
区外住居 | 要問合せ |
利用可能者 | 園長:要問合せ 主任:要問合せ 栄養士:要問合せ 調理師:要問合せ 看護師:要問合せ |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 要問合せ |
区外住居 | 通勤可能な場所なら可 |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 住民票が同じ住居手当を支給されていない親族。保育士の収入が世帯収入の5割を超えている方。 |
区外住居 | 要問合せ |
利用可能者 | 園長:保育士資格があれば可 主任:保育士資格があれば可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 配偶者に住居手当がない場合 |
同居・同棲 | 配偶者に住居手当がない場合 |
区外住居 | 通勤可能な場所なら可 |
利用可能者 | 園長:可 (法人の役員) 主任:園により異なる 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 世帯が一緒であれば可。世帯が一緒でなければ賃借料の半分を補助。 |
区外住居 | 要問合せ |
利用可能者 | 園長:可(役員を除く) 主任:可(役員を除く) 栄養士:可br>調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 1から5万円 |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 同世帯の場合:収入を比較 世帯が違う:専有面積に応じて按分 |
区外住居 | 特別区か特別区に隣接する市 勤務地までドアtoドアで1時間以内 |
利用可能者 | 園長:可(8年度以内) 主任:可(8年度以内) 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 区内居住:130,000万円 区外居住:82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 園により異なる |
同居・同棲 | 同居者が住居手当を受けていない場合は可 |
区外住居 | 新幹線などを利用せず、片道1時間半以内であれば区外に住むことも可能。 |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 世帯主であるとともに単身または同宿者内に居住する者がすべて本人の被扶養者であること |
区外住居 | 通勤利便性などの合理的理由があれば対象 |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から3万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 保育従事職員及び保育従事職員と同一世帯に属する者が住居手当等の支給を受けていない。 |
区外住居 | 要問合せ |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | ①世帯主であること ②本人も同居人も住宅手当を受けていないこと |
区外住居 | 公共交通機関で通える範囲内 |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 要問合せ |
区外住居 | 要問合せ |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 区内居住:112,000円 区外居住:82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 借り上げの本人が世帯主である |
区外住居 | 通勤時間1時間以内 |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:可 看護師:可 |
家賃上限 | 区内居住:92,000円 区外居住:82,000円 |
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自己負担 | 園により異なる(0から2万円) |
家賃上限超過分自己負担での居住 | 可 |
同居・同棲 | 同居人が住居手当を受けていない |
区外住居 | 可 |
利用可能者 | 園長:可 主任:可 栄養士:可 調理師:要問合せ 看護師:可 |
こういった借り上げ社宅制度については、自治体ごとの補助の違いや園ごとの条件・制度の違いなどがあるため、求人情報だけで判断することはまずできません。自治体のホームぺージなどで調べることも可能ではありますが、全てを把握するのは難しいでしょう。
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