保育士の退職金事情

保育士の退職金事情は勤務先の制度によってさまざまです。必ずもらえるというものではなく、長期間勤務していないともらえないケースもあります。退職金は、仕事を辞めた後の生活や、次の仕事を探すまでの間の準備費用として重要なものです。退職金がもらえると思っていたらもらえなかった、という事態にならないよう、勤務先ごとの退職金事情を知っておきましょう。このページでは、保育士の退職金事情について解説しています。

保育士で退職金がもらえる条件

公立保育園の場合

公立保育園の場合は、正規職員の保育士であれば地方公務員の待遇となるので、退職金制度が用意されています。退職金がもらえる条件は「勤続１年以上」です。よって、公立保育園で正規職員として雇用されており、正規職員として雇用されてから1年以上勤務していれば退職金がもらえると思ってよいでしょう。ただし、非常勤職員の保育士は、地方公務員であっても退職金支給対象外となっているため、退職金はもらえません。

私立保育園の条件

私立保育園の退職金の支給条件は、勤務先の保育園の就業規則や契約によって異なります。私立保育園に勤務する保育士は、一般企業の社員と同様の待遇です。このため、退職金が支給されるかどうかは勤務先の就業規則や契約によって違ってくるのです。多くの場合、退職金の支給要件は「勤続3年以上」です。また、退職金が支給される場合、正規職員の保育士は支給対象ですが、パートやアルバイトの保育士は支給対象外であることがほとんどです。

保育士の退職金の相場

公立保育園の退職金相場

公立保育園の保育士の退職金は、地方公務員の退職金制度として、地方自治法により下記のように定められています。

• 退職手当額＝基本額+調整額
• 基本額＝退職日給料月額×退職理由別・勤続年数別支給率
• 調整額＝調整月額のうちその額が多いものから 60 月分の額を合計した額

引用元: 総務省 地方公務員の退職手当制度について（https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/komuin_taishoku/pdf/071221_1_si7.pdf）

勤続年数が長いほど退職金の額が多くなります。また、自己都合よりも定年・勧奨や整理退職の方が多くの退職金がもらえます。地方公務員における定年退職での退職金の平均額は2,000万円とされており、公立保育園の保育士の場合も同程度です。

私立保育園の退職金の相場

私立保育園に勤務する保育士は、一般企業の社員と同様の待遇であるため、就業規則や契約によって退職金の額は変わります。従来、私立保育園の運営は「社会福祉法人」が行っているケースがほとんどでした。現在では一般企業も参入し、「株式会社」による私立保育園運営も増えています。

社会福祉法人の場合

社会福祉法人が運営する保育園では、多くの場合、福祉医療機構の「退職手当共済制度」に加入しています。退職金の額は加入年数・退職前6カ月の平均本俸月額・退職理由によって決まります。福祉医療機構公式HPの退職手当共済事業「退職手当金計算シミュレーション」で大まかな退職金の額を算出可能です。例えば、加入年数10年・退職前6カ月の平均本俸月額20万円前後、普通退職のパターンでは退職金の額は約128万円です。

引用元: 福祉医療機構 退職手当共済事業「退職手当金計算シミュレーション」（https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/taisyokuteate/）

株式会社の場合

株式会社では、福祉医療機構の「退職手当共済制度」に加入している場合と独自の就業規則や契約に基づいて退職金の額が決まる場合に分けられます。福祉医療機構の「退職手当共済制度」に加入している場合は前述の、社会福祉法人の場合と同様です。独自の就業規則や契約に基づいて退職金の額が決まる場合は、保育園運営元の方針や運営状況などによって異なります。

退職金の支払日

公立保育園の場合

公立保育園の場合は、退職日の支払期日は退職手当条例によって定められており、退職日から約1カ月以内に支払われます。条例で定められているため、支払日が遅延することはほとんどありません。

私立保育園の条件

私立保育園の場合は、退職金の支給日も就業規則や契約によって異なります。おおむね退職日から1～3ヶ月以内に支払われる場合が多いようです。保育園運営元の方針や運営状況などによって異なるため、はっきりとした支払日が知りたい場合は、退職前に確認しておきましょう。

退職金制度の確認方法

保育士の退職金制度は、運営元の組織や就業規則、契約内容によって異なります。公立保育園や、求人に「退職金制度有り」と明記されている場合は安心ですが、退職金制度があっても単に求人情報には書かれていないケースもあります。興味のある求人や希望する求人が私立保育園のもので、退職金制度についての記載がない場合は、保育士専門の転職アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか？退職金制度を含め、自分では質問しにくい事項を確認してもらえるうえ、契約内容や待遇の相談にも乗ってくれます。保育士専門の転職エージェント（紹介会社）なら、保育士の転職にまつわるあらゆる情報に精通しており、あなたの希望を沿った保育園を紹介してくれるでしょう。