保育士の有効求人倍率とは?捉え方と倍率が高い理由
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保育園を転職しようと思ったとき、求人の倍率が気になる人も多いいのではないでしょうか。受験などと同じように倍率は気になるものの「有効求人倍率とは?」と実はよくわからない保育士もいるかもしれませんね。今回は、保育士の有効求人倍率について、捉え方や倍率が高い理由を紹介します。
有効求人倍率とは?
有効求人倍率とは、「仕事を求めている求職者数に対して企業が求める求人数の割合」を示したものです。有効求人倍率が高いか低いかで、需要の高さが判断できます。
有効求人倍率の計算方法
有効求人倍率は、以下の計算式に当てはめて求められます。
例をあげてみましょう。
- A保育園…100人の求人枠があり50人が応募。有効求人倍率は「100÷50=2倍」
- B保育園…100人の求人枠があり200人が応募。有効求人倍率は「100÷200=0.5倍」
数値が「1倍」に近ければ、求人数と人手がバランス良く保たれている状態になります。
有効求人倍率が「高い」「低い」状態の意味は?
有効求人倍率が「高い・低い」は、どういう状態のこと?と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。先ほどの例を参考に紐解いていきましょう。
- A保育園…有効求人倍率2=高い
- B保育園…有効求人倍率0.5=低い
A保育園は、募集人数100人のうち50人しか応募していないので、まだ応募枠に空きがありますよね。「有効求人倍率が高い状態」を表しています。
一方B保育園はどうでしょうか。同じく募集人数100人に対して200人もの人が応募しています。求職者のうち半数が不採用となる、狭き門になりますね。「有効求人倍率が低い状態」を指します。
つまり、有効求人倍率の数値が大きいほど採用されやすいのです。
保育士の有効求人倍率は高い?低い?
保育士の有効求人倍率は高いのでしょうか、低いのでしょうか。
各都道府県によって数値は異なりますが、全国各地で「高い」です。
たとえば2021年の東京の有効求人倍率は、3.72倍。全国平均で見ても2.94倍(厚生労働省「職業安定業務統計」より)となっています。東京の場合、求人枠が100人中27人ほどしか応募していないことになりますね。有効求人倍率の高さから、保育士がいかに人手不足かが見て取れるでしょう。
保育士が人手不足の原因
保育士不足にはさまざまな要因が挙げられます。ここでは代表的な原因を3つ紹介します。
給料が低い
保育士の給与は一般企業と比べて低いです。厚生労働省の調査では、平均月収24.4万円となっていますが、税金や保険などが引かれると手取りは20万円前後。生活が苦しいと感じて退職を決意する保育士もいます。また多くの残業は「サービス残業」、持ち帰っての仕事は「無償」が現状です。給与やボーナスに反映されることがなく、仕事量と給与が見合っていないと不満を感じる人も多数います。
仕事量が多い
保育士は、子どものお世話だけが仕事ではありません。指導案や日誌の作成などの事務的な仕事もあれば、連絡帳の記入や製作などの雑務も多く、休憩時間がないといっても過言ではありません。とくに行事前は大忙しです。子どもの衣装製作や大道具の製作・運搬なども加わり、残業しても追いつかずに家に持ち帰る・休日返上して作業にあたることもしばしば。仕事量の多さから離職してしまう保育士が後を断ちません。
人間関係に悩む
保育士は、「人対人」の関わりが多い職場です。子ども以外にも、先輩保育士・主任保育士・園長や保護者など多くの人と関わらなければなりません。加えて、女性が多いため独特な雰囲気があります。新人いじめや仲間はずれ、嫌味や悪口・陰口、保護者対応などで嫌な経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。最近はモンスターペアレントも増え、理不尽な要求をされることも少なくありません。「もういやだ」と人間関係に疲弊して退職する保育士も多数います。
保育士の今後の需要
近年は少子化問題が話題に取り上げられることもありますが、都市部を中心に待機児童問題は解消されていません。また保育士の人材不足も続いています。保育士の需要は高い水準にあるといえるでしょう。国の対策として処遇改善やキャリアアップなどが行われていますが、分配方法は経営者にゆだねられており、保育士に還元されていない園があるのが実態です。人手不足を解消するには、保育士の労働環境や待遇改善が必要不可欠ではないでしょうか。
まとめ
保育士の有効求人倍率について紹介しました。現時点ではまだ保育士不足が続いており、有効求人倍率の数値も高いですが、子どもの人数は年々減ってきています。
今後は有効求人倍率も少しずつ減少していくかもしれません。とはいえ、夫婦共働き家庭が増えているのも事実です。待機児童・保育士の人手不足、どちらも解消してバランスよく保てるようになるといいですね。