保育士の早番・遅番の仕事内容と実態

多くの保育園では、シフト制で勤務が組まれています。シフト表で確認する中で、とくに気になるのが「早番・遅番」の人も多いのではないでしょうか。数ある当番の中でも業務量の多い「早番・遅番」。負担や残業時間の関係で、「早番のみ」「遅番のみ」のパートさんを雇う保育園もあります。今回は、早番・遅番の仕事内容と実態を紹介します。

保育士の勤務形態は「シフト制」

多くの保育園で採用している「シフト制勤務」では、さまざまな当番があります。今回担当する私は保育士経験があります。私が勤務した保育園では、次のようなシフトになっていました。

• 早番…7:00～16:00
• バス番…7:00～16:30
• 8時番…8:00～17:00
• 中番…8:30～17:30
• 9時番…9:00～18:00
• 9:30番…9:30～18:30
• 遅番…9:45～最後の子どもが帰るまで

基本的に8時間勤務なので、シフト上では上記のような時間ですが、早番の場合は7:00前には出勤し、開園の準備をおこなわなれけばなりません。同様に、遅番の場合は、最後の子どもが帰ったあとで、全部屋の戸締り確認などをします。そのほか、バス番では登園バスに乗って送迎をする、8時番では8:00～8:30の間に玄関に立って視診をする、9:00番では18:00から30分間玄関当番をするなど、それぞれに役割が決められていました。

固定時間勤務もあるのでは？

「固定時間勤務はないの？」と思う人もいるかもしれません。保育士にも固定時間勤務で働く人はいます。しかし多くが「正規職員」ではなく、「パート職員」です。家庭があるため「9:00～15:00まで」、「土曜のみ出勤」といったスタイルで勤務している人もいます。子育て家庭の保育士さんは、子どものお迎えまでの時間や、夕食前までの時間など、両立しやすい時間内で働きたい希望があるからです。そのため、独身の保育士さんや正規職員は、日ごとに当番が変わるシフト制で時間が決められる場合が多くあります。

早番・遅番・土曜のみの専属パートさんがいる園もある

シフト制で勤務をまわしながら、残業もしている保育士さんの負担は大きいです。そのため、早番のみ・遅番のみのパートさんを募集する園もあります。通常、早番・遅番ともに2人ずつ職員を配置しなければならないので、保育士の人数が少ない保育園は、毎日めまぐるしいシフトです。その点、毎日決まったパートさんが早番・または遅番を担ってくれる保育園では、いくらか負担は軽減されます。情報伝達・共有がしやすい点もメリットです。

遅番から早番をすることもある

実は、遅番の次の日に早番をする園も珍しくありません。このシフトの組み方には理由があります。それは「園のカギ」です。保育園のカギは、職員一人ひとりがもらえるものではありません。「園で1つ、または2つ」と決められているケースも多いため、カギをうまく使いまわさなければならないのです。たとえば園のカギが1つしかなく、遅番の保育士がカギをかけて持ち帰ったとしましょう。次の日、その保育士が中番(8:30～)出勤だった場合、保育園を開くことができません。これでは大惨事にもなりかねません。そのため、遅番でカギをかけて持ち帰った職員が、そのまま次の日に早番をおこない開園する体制をとっている施設もあります。ただ、遅番の次の日に早番をするとなると、職員の負担は倍増。ハードワークといわれる理由のひとつといえます。

早番の仕事内容

早番の仕事内容は、おもに環境設定と子どもの受け入れです。仕事内容には次のようなものがあります。

• 玄関を開けて電気をつける
• 全部屋のカーテンを開ける
• 乳児室と事務所のポットを沸かす
• 視診簿を準備する
• 掃除機をかける

「遅刻をして開園が間に合わない！」状況は避けなければならないので、カギ開けの担当になった際には責任をもって務めましょう。早朝の時間では、子どもは合同で過ごす園が多いです。乳児から年長児まで、さまざまな年齢の子どもが一緒の部屋にいるので、危険のない遊びを設定する必要があります。また保育士の人数が少ないので、保護者からの伝達などは、忘れずクラス担任に伝えましょう。担任が揃い、各クラスに移動したら早番の責務は終了です。

遅番の仕事内容

遅番の仕事内容は、おもに子どもの引き渡しと戸締りです。仕事内容をみていきましょう。

• おやつの援助・後片付け
• 掃除機をかける
• 各部屋の見回り(窓の鍵やカーテン、電気の消し忘れなど)
• ポットやパソコンの電源を切る
• 玄関を閉める

遅番2人で分担するケースも多いかと思いますが、暖房の消し忘れや、ポットのつけっぱなしなどは火事の原因になるので、ダブルチェックできると安心です。保育園を閉めたら仕事は終了です。

まとめ

朝早くから遅くまで開いている保育園では、早番・遅番は欠かせません。とはいえサービス残業が多く、決められた本来の時間に帰れない保育士の負担は相当です。定刻で終業できる園の見極めが大切かもしれません。